Sヤイリネック修理その2

さて、その2となったネック修理。
その承った経緯というかストーリーを少しお話ししますと、
3月中旬、ティーンエイジャーの兄妹さんが当店ミュージックポケットに来店
ネックに亀裂が入ったとの事。見れば木部の大半に達するし、インチューン(規定の音程にチューニングを合わせる事)しようとすると、亀裂はさらに広がりチューニングを合わせることができない。
聞けばこちらのギター、1日前に妹さんが購入したばかり。
ワクワクの気持ちで帰宅したが、何かの拍子に倒れてしまい
ネック破損となった。
妹さんはお兄さんに相談し、購入店さんに保証の対象になるか伺ってみたが
やはり、落下や倒れての衝撃の場合メーカーの保証対象外になり、
再度購入する価格を修理価格が上回るとの回答。
妹のために何とかしてあげたい気持ちで複数楽器店を廻られ
当店にたどりついた。
安価に修理したい意向だったので接着のみで承ったが、サテン塗装(艶消し)だったので
部位の保護のため簡易塗装を施して仕上げたら施術跡が全く目立たない感じにできました。

きっと、妹を想って何軒も楽器店をまわってくれた
優しいお兄さんの気持ちが、傷痕を見えなくさせたのでしょう!
納品時、お渡しした時に「折れてた場所が全然わからない!」と喜ぶ妹さん。
そんなストーリーに携われて僕もとても嬉しかったです。
想いというエネルギーが人を動かす。
モノに「人の想い」が入っていく。
木で作られたギターって、私たち人間よりも長く生きて
多くの人に関わっていきます。
何世紀にも渡って人と関わる仏像が、木から作られるのにも頷けます。
木材は加工しやすいから…では無くて、想いを込めやすいからなのかも
そんな事を気付かせてもらえた仕事でした。
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